焼肉なのに服に匂いがつかない。田中焼肉レストランで知った量より質の贅沢
焼肉といえば、床が油でツルツルして、帰るころには服も髪もすっかり焼肉の匂い。お腹いっぱいになって「もう動きたくない!」までが、私の中ではいつもの流れでした。
ところが今回、そのイメージをきれいにひっくり返してくれたのが、名駅近くにある田中焼肉レストラン。おしゃれなお客様から「焼肉を食べに行きましょう」と誘っていただき、今まで知らなかった大人の焼肉時間を味わってきました。
焼肉のイメージが全部ひっくり返った
お店があるのは、名駅とは思えないほど静かなビルの地下。中へ入るまでは「ここで本当に焼肉?」と少し心配になりましたが、扉の先にあったのは、落ち着いた照明とすっきりした店内でした。油っぽさも煙っぽさもなく、これだけでいつもの焼肉とはまるで違います。
席に着くと、彼女が選んだ飲み物は黒烏龍茶。「焼肉にはこれよ」と言われて、なるほど、そういうところまで心得ているのねと納得。私は素直に同じものをお願いしました。おしゃれな人は服だけでなく、食事の楽しみ方までスマートです。
きれいな空間でいただくと、自然と姿勢まで整います。煙を気にして急いで食べる必要もなく、会話を楽しみながら一皿ずつ待つ時間さえごちそう。焼肉は勢いで食べるものだと思っていた私には、それも新鮮でした。

量より質を知っている人の選び方
彼女は、いいお肉を少しだけ食べる人。まさに量より質です。私はどちらかというと反対側にいた気がしますが、この日の肉はたった六枚でも驚くほどの満足感がありました。一枚ずつ丁寧に焼き、彼女の指導のもと、いちばんおいしいタイミングでいただきます。
私は普段から肉を塩で食べるのが好きですが、これは塩で十分どころか、塩さえいらないほど。噛むほどに肉の味と香りが広がり、たくさん食べなくても心まで満たされます。「上質なものを少し」の意味が、ようやく分かった気がしました。
焼き網を前にすると、つい次々と肉をのせたくなります。でもこの日は、一枚を焼いて、一枚を味わう。間を置くことで、部位ごとの柔らかさや脂の甘みまでよく分かります。急がない食べ方は、気持ちまで贅沢にしてくれました。
一皿ごとに驚きが待っている
最初に出てきた涼しげなサラダには、茄子やカリモリが美しく盛られていました。私は「カリモク?家具屋か?」と一瞬思ってしまいましたが、カリモリです。全部が一切れずつという上品な量で、ひと口ごとに味わっていただきました。
ナムルも、よく見る混ぜ合わせた姿ではありません。素材が一つずつきれいに並び、まるでフルーツにごま油をまとわせたような軽やかさ。熱々のテールスープは、牛のうまみと香りがまっすぐに伝わり、体の中からほっとほどけるおいしさでした。

締めまできれいで楽しい
締めは、すだちの香りが爽やかな冷麺。麺はどんぐりの粉から作られているそうです。どうしてどんぐりで麺を作ろうと思ったのかは謎ですが、つるりとした食感でとてもおいしい。次に伺ったときは、その理由まで聞いてみたいと思います。
器はすべてマイセンで、料理だけでなく目にもごちそう。白くてとろろ芋のように見えたものは、上品な杏仁豆腐でした。普段は杏仁豆腐をあまり選ばない私も、これは別。最後のコーヒーまで丁寧で、スタッフの方々の礼儀正しい説明にも気持ちが和みました。

いい食事は気分まで軽くしてくれる
食事を終えて驚いたのは、お腹が苦しくないこと。そして、服にも髪にも焼肉の匂いが染みついていないことでした。焼肉を食べたのに、帰り道まで気分が軽い。まるでマジックのようです。
量で満腹にするのではなく、味、空間、器、接客をゆっくり楽しむ。大人になった今だからこそ、こんな焼肉がしっくりきます。おしゃれな彼女に誘っていただいたおかげで、また一つ知らなかった世界に出会えました。ここは、ぜひもう一度訪れたいお店です。